風の庫

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生命

 思潮社の現代詩文庫78「辻征夫詩集」より、「隅田川まで」を読む。
 初めの「学校の思い出」「今は吟遊詩人」の感想は、先の12月29日の記事にアップした。
 

 「隅田川まで」の原著は、1977年、思潮社・刊。 
 彼の抒情詩には異質さがある。現実的論理を離れて、異世界の深くへ届く。
 想像というより、空想の軽さがある。詩情を脅かす現実が深みを与える。
 しかし異世界への参入の仕方は「アルコールの雨」、宿酔の力ではないだろうか。萩原朔太郎が「独自で日本のシュールリアリズムを創り上げた」と言われても、僕はアルコール依存の幻覚ではないかと疑っている。
 戦後詩の田村隆一は酒好きな詩人だったが、彼は深く病んでいた。

 「魚・爆弾・その他のプラン」の第2章より引いてみる。「夕陽を小型の爆弾となす/呪文を発見し 任意の/場所に落としてみる…」。
 辻征夫の詩は、賭ける深さに抜きん出ていたのだろう。しかし、生命と生活を保障した世界へ移ったのだろう。現代詩文庫には、「続 同」「続々 同」がある。
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写真ACより、「ウィンターアイコン」の1枚。




 



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 季刊同人歌誌「COCOON」Issue12を、ほぼ読み了える。
 到着は6月18日の記事、1冊と2誌が届く、で報せた。
 同・Issue11の感想は、先の4月3日の記事にアップした。リンクより、過去号の記事へ遡れる。
概要
 2019年6月15日・刊。ほぼA5判、87ページ。短歌作品欄は、1ページ1段、6首組み。
 結社「コスモス短歌会」の若手歌人(1965年以降・生まれ)を同人とする。代表:O・達知さん。
感想
 ソ連型社会主義崩壊後の資本主義は、労働者の生活や生命を顧みない、低賃金、使い捨て、殺人(過労死)さえ犯すものになった。単身赴任という、家庭を引き裂く使役が出た頃から、怪しいと僕は思っていた。僕は危うく立場的に、年齢的に逃れ得た。
 M・芙季さんの投げ遣りな心情、K・玲音さんの「だれよりも悲惨でいたい」と破綻的な心情が見られる。
引用

 O・淳子さんの「さみしくはないはずなのに」12首より。
降りだした雨にまじりて血の匂う懸命に生きることに疲れた
 懸命に頑張れば、利用されるだけで、成功に結び付かない、現状を知らされる。
 O・達知さんの「強気」12首より。
生きてゆくこころぐるしさ減らそうとあっち見ながらゴミ出しをせり
 「苦しさ」を感じるのは、比較する「楽さ」を知っている、比較的に年嵩の勤労者に多いようだ。
 
 このような時代に、短歌同人等の仲間、家庭に寄り合うなどして、生きるしかないのだろう。



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