風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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短編小説集

 最近に手許へ届いた2冊を紹介する。
 まず所属する結社歌誌「覇王樹」の、2021年8月号が届いた。
「覇王樹」8月号
 同・7月号の感想は、今月5日の記事にアップした。リンクより、旧号の感想へ遡れる。


 もう1冊は、今村夏子「父と私の桜尾通り商店街」がAmazonの、ほしい物リストに残っているのを見つけて、メルカリの古本を、わずかなメルペイ残高とクレジット決済で買った。
父と私の桜尾通り商店街
今村 夏子
KADOKAWA
2019-02-22

 題名に惹かれたのだが、同題の作品を含む、短編小説集らしい。
 2019年、「むらさきのスカートの女」で芥川賞を受賞する、直前の作品集である。
 「むらさきのスカートの女」の感想は、2019年10月31日の記事にアップした。

 リンクより、他の作品の感想へ遡れる。
 2010年にデビューして、現在まで6冊刊行と、彼女はどうも寡作らしい。








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 三浦哲郎の短編小説集「盆土産と十七の短編」を読み了える。
盆土産と十七の短篇 (中公文庫)
三浦 哲郎
中央公論新社
2020-06-24

 手許の実物には、帯がある。

 入手は、今月5日の記事、届いた4冊を紹介する(5)の末尾で報せた。

 その4冊の内、渡辺茂子「アネモネの風」以外は読んでいる。

 「盆土産と十七の短編」は、中公文庫、2020年・再版。
 「盆土産」は、父親(母親は亡くなっている)の出稼ぎの土産、海老フライを初めて食べる姉弟と、祖母の物語である。「金色の朝」は、少年が弟妹たちに気取って言う科白、「朝の雨と…女の腕まくりは、ちっともこわくねえ。」(差別があったら済みません)が印象的である。この2編は既読なので、文庫本が既読なのかと思ったが、国語教科書に載った短編小説を集めた、オリジナル・アンソロジーとの事。
 「私の木刀奇譚」(永井荷風の「墨東奇譚」に掛けてある)、「猫背の小指」「ジャスミンと恋文」「汁粉に酔うの記」「方言について」「春は夜汽車の窓から」7編は私小説風で、現在の安定した境地(三浦哲郎の若い時の家族の宿命を、ようやく克服した、重要な意味を持つ)を思わせる。
 「おおるり」(「石段」を除く)「睡蓮」「星夜」は、死の絡む話である。「ロボット」は少年が死に、「鳥寄せ」では出稼ぎがうまくゆかなかった父親が、郷里の裏山で枝に首を吊る。「メリー・ゴー・ラウンド」も、父娘の(母は亡くなっている)心中未遂を描く。未来ある中学生・高校生に、こういう暗い話を読ませたくない。PTA的になるのではないけれど、努力の物語、苦難を越える物語を、読んでほしい。
 「とんかつ」は禅寺の雲水になった少年の1年の成長を、「じねんじょ」は四十を越えた小桃が、初めて実父に会う物語を描く。父親が「怨みでもあらば、なんでも喋れや」の科白が良い。しかし少年少女に、積極的に薦めたいストーリーではない。作者の責任ではないけれども。
 久しぶりに三浦哲郎の短編小説集を読んで、僕は満足している。

沖の白帆
 「北潟湖畔花菖蒲園」より、「沖の白帆」の1枚。



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 6月8日午前10時より、和田たんぽぽ読書会6月例会が、会員8名の全員参加で、和田公民館にて催された。体温・体調に異常がない事を受け付けの1覧表に記入し、マスク着用で。
 今回の課題図書は、地元の作家(詩人・評論家でもある)の定道明さんの「ささ鰈」である。10編を収めた、短編小説集。
 僕の一応の感想は、昨年6月2日の記事にアップした。


 今回は、AKさんの司会で、右回りに感想を述べた。
 AKさんは、福井県・在住の地元の作家はたんぽぽ読書会で初めてで、年代が同じ、環境が自分と同じ作家だと紹介した。
 ATさんは、短編1つ1つが面白い、知っている地名が頻出する、と述べた。
 TRさんは、墓仕舞いの話が出て来るが、自分も経験があり、世話的にも費用的に大変だったろうと感想した。油揚げ(福井県は油揚げの消費量が全国1位である)の話では、大豆を店に持って行って油揚げを貰う、物々交換のような時代もあった、とも。
 僕は、先のブログ記事をプリントしてあったので、それに沿って述べた。
 OTさんは、忙しく事情もあり、読んでいない、との事だった。
 IMさんは「面白い作品だった。読めない漢字があり、飛ばして読んだ。ルビを振ったほうが良い。」など語った。
 IYさんは、ノートを忘れ、記憶で語った。2回読んだが、何気ない事が考え方によって良い作品になる。感性を投網のように広げ、絞って内容を得た、と述べた。「犀星道」の繰り返しの説明について、僕が彼は学者でもあるから正確さを追求する面があるのだろう、と補足した。
 MMさんは、中野重治の「くちなし忌」や講演会「中野重治の午後」でよく会う。渋く、重く、古武士を思わせる。引き際を弁える、と述べた。
 時間(正午まで)が余ったので、定道明さんとの交友の思い出などを語りあった。正午15分前くらいに散会した。
 家で僕が「ささ鰈」を読み直してみると、会員の読書法に刺激されたのか、新しい印象があった。ベテランの作家の筆で書かれているが、これは自分史でもある。人生を回顧して、鮮やかに蘇る細部と心情は、書き記す事を迫るようだ。

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写真ACより、「建築」のアイコン1枚。


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 昨日に到着を報せたばかりの、定道明さんの短編小説集「雪先生のプレゼント」を読み了える。
「雪先生のプレゼント」
 「雪
(せつ)先生のプレゼント」には、7編を収める。アマチュア作家同士の友情と相手の死を描く、「一人旅」がある。
 福井出身の詩人で、芸術院賞、恩賜賞を受け、芸術院会員の荒川洋治氏の生家を訪ねる「茅萱と小判草」では、案内のMさんが、山岳エッセイストM・迪男さんと推測されて楽しい。荒川洋治氏の家には、共に高校生だった頃、招かれた事がある。高見順の生家・墓地と共に、写真が残っている。僕の卒業間際にも招かれたようで、早稲田の角帽の荒川氏との2ショットが残っている。
 「餡パンを買いに行く」は、自動車運転免許証を返納して、シニアカーに乗る作者が、餡パンを買いにシニアカーで出かける話である。僕も車を辞めた(免許証は持っている)あと、外出が不便で困っている。
 「雪
(せつ)先生のプレゼント」は、かかりつけ医の女医・雪先生より、きれいな空き箱を貰う話である。ありがたさは、貰い物の箱が捨てられぬようになるまで、「遠い時間が必要だったのである。」。
 「DK虫」は、老いたせいか早起きの作者が、DK(ダイニングキッチン?)に籠る話から展開する。
 様々に、フィクションも混じるだろうが、老いての巧まないペーソスとユーモアに満ちている。


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 福井で作家、詩人、評論家としてご活躍の定道明さんが、短編小説集「雪先生のプレゼント」を贈って下さった。

「雪先生のプレゼント」

 昨年5月28日の記事、定道明「ささ鰈」を贈られる、以来である。

 定さんはこれまで略歴に載るだけでも、詩集4冊、評論集4冊、小説7冊を、自費出版されている。お小遣いのほとんど全てを、本の出版に掛けて来たのだろう。


マスキングテープ&ポストカード・セット
 ブログの先輩の暁龍さんが、マスキングテープ&ポストカードのセットを、Instagramフォロワー4万人越えを記念して、メルカリより発売したので、さっそく購入した。
 写真にはボケ、ユガミ、光の映り込みがあるが、読者の方は想像力で補正していただきたい。
 左上より、左回りに、挨拶文、マスキングテープ、ポストカード3枚、コースターである。1セット:千円(税込み、送料込み)である。
 僕の場合、写真に撮って、クリア・ファイルに入れ、ボックスに入れ、即・永久保存した。


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 軽い本をと思って文庫本棚より取り出し、大崎善生の短編小説集「ドイツイエロー、もしくはある広場の記憶」を読み了える。新潮文庫、2008年・刊。



 前のブログ「サスケの本棚」によると、2009年1月29日に、彼の短編小説集「孤独か、それに等しいもの」(角川文庫)の感想をアップしている。その前にノンフィクション「聖の青春」、「将棋の子」を読んで、感銘を受けた。

 この本には、「キャトルセプタンブル」、「容認できない海に、やがて君は沈む」、「ドイツイエロー」、「いつか、マヨール広場で」の、4編を収める。
 いずれも娘さんが青年と出逢い、別れる物語である。感情過多で、感銘が薄かった。「聖の青春」、「将棋の子」では、事実が抑えていたけれど、フィクションになると甘いようだ。
 若者向けのファンタジーに思えてくる。


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 最近に手許に届いた3冊を紹介する。

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 荻原浩の短編小説集「家族写真」を、メルカリで買った。入院中の1月3日、スマホより注文し、妻が談話室に持ってきてくれた。
 初めての作家である。講談社文庫の乃木坂文庫。2017年3刷。7編を収める。

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 ただ1種、購読してしている総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)の2021年2月号が届いた。表紙のダーク調が続かなくて良かった。第32回・歌壇賞の発表、短歌甲子園2つと、3つの高校生大会の交流戦のオンライン大会の、報告がある。
 同・1月号の感想は、昨年12月26日の記事にアップした。


 水脈の会より、詩誌「水脈」69号が届いた。
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 2020年12月15日・刊。A5判、66ページ。12名・19編の詩、他を収める。
 同・68号の感想は、昨年8月22日の記事にアップした。


 いずれも読み了えたなら、ここに記事アップしたい。



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