
文庫本棚より取り出して、色川武大(いろかわ・たけひろ、1929年~1989年)がおもに敗戦前の浅草芸人たちを、伝記的に描いた小説「あちゃらかぱいッ」を読み了える。
文春文庫、1990年・刊。
前のブログ「サスケの本棚」を管理画面から検索すると、彼の小説は、2009年9月16日に「引越貧乏」を、2015年3月4日に「百」を、記事アップしている。
「あちゃらかぱいッ」は、戦前の浅草で「成功したとはいいがたい」芸人たちを、「彼らの一生を深く愛するもの」の立場から描いた。
自身も小学生高学年時代から、授業をサボッて界隈に出入りし、見聞きした事、芸人たちから聞いた話を基にした。
川端康成が「浅草紅団」を新聞に連載した事などから、人気が出たという。
男女入り乱れての、芸、人気、痴情の世界である。末尾では、土屋伍一、シミキンなどの末路を描いた。
羽生善治の自己啓発の本も良いけれども、こういう落ちぶれた世界も、僕に親しい。

