風の庫

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西東三鬼全句集

 角川ソフィア文庫「西東三鬼全句集」より、句集「変身」の後半、2回めの紹介をする。文庫本で、196ページ~272ページである。
 同(1)は、先の5月29日の記事にアップした。




 この句集には、10年間の1,073句が収められており、2回に分けて紹介する理由である。
 刊行は、死没の1ヶ月余りまえで、単行句集の最後となった。
 前衛としての態度を崩さなかった。字余りの句など、言葉の按配では定型に収まりそうな所、伝統俳句に逆らうがに、突っ張っている。
 旅吟に秀句が多いように思われる。また若者に期待する句もある。
 彼は演技がうまく、俳壇の寝業師とも呼ばれたという。人生経験を積んで、33歳で俳句を始めた三鬼にとって、文学少年・少女上がりの俳人は、与しやすかっただろう。

 以下に5句を引く。
秋の夜の海かき回し出帆す
(松山)
膝にあてへし折る枯枝女学生
若者の木の墓ますぐ緑斜面(中村丘の墓)
老いし母怒涛を前に籾平(なら)
象みずから青草かづき人を見る
0-23
写真ACより、「アジアンフード&ドリンク」のイラスト1枚。




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 角川ソフィア文庫「西東三鬼全句集」より、第3句集「夜の桃」を読み了える。
 第2句集「空港」は、今月13日の記事にアップした。



 なお句集「夜の桃」について、前のブログ「サスケの本棚」の2013年8月16日の記事で、「増補 現代俳句大系」第7巻より取り上げている。


 「夜の桃」は、1950年、七洋社・刊。「空港」との間には、1945年の敗戦があり、1947年の現代俳句協会・創設、1948年の俳誌「天狼」(山口誓子・主宰)創刊などに、大きく寄与した。

 「夜の桃」は、戦前の50句、戦後の250句より成る。両者は、はっきり分けられている。
 戦後の句には、焦土と共に、再生への意気が読めるようだ。浮浪児も、貧しい享楽も、吟じられている。荒地の希望さえ、あるようだ。

 以下に5句を引く。
寒燈の一つ一つよ国敗れ
中年や独語おどろく冬の坂
おそるべき君等の乳房夏来
(きた)
甘藷
(いも)蒸して大いに啖ふクリスマス
断層の夜明けを蝶が這ひのぼる
0-18
写真ACより、「アジアンフード&ドリンク」のイラスト1枚。




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