風の庫

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観察

 岩波文庫のヒポクラテス「古い医術について 他八篇」より、6回めの紹介をする。
 同(5)は、先の3月29日の記事にアップした。


 今回は、「流行病 第1巻」を読んだ。26節の概説と、14の症例を含む。
 紀元前4百年の医学書とはいえ、「文利」「焼熱(カウソス)」「煮熟」等の不明の語、「卒中」を流行病とする誤り、などが見られる。
 「14の症例」でも、詳細な観察はなされるが、手当ての記述はほとんどない。これでは、薬草をあさった漢方医学に劣るのではないかと思われる。
 理念としては、「医の技術には三つの要素がある。すなわち病気、病人、および医者。医者は技術の助手である。病人は医者と協力して病気に抵抗すべきものである。」と、とても立派なのだけれども。

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写真ACより、「ビジネス」のイラスト1枚。


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 岩波文庫のヒポクラテス「古い医術について 他八篇」より、5回めの紹介をする。
 同(4)は、今月2日の記事にアップした。リンクより、過去記事へ遡れる。


 今回は、「人間の自然性について」全15節、99ページ~114ページの16ページを読んだ。
 第1節では、哲学者の観念論で「人間は空気である」、あるいは「人間は火、水、土、他・明白でないところのものである」との論を一蹴した。第2節では、医者の1部の抽象論「人間は血液である、胆汁である、粘液である」との論を否定し、「身体には多くのものがある」と正論を書きながら、それら相互の加熱・冷却、乾湿が諸々の病気を生む、と誤謬に陥る。
 第4節では、人間は血液、粘液、黄および黒の胆汁を持っており、それらが調和すれば健康で、それらが本性のままでないならば病苦を病むと、怪しげな見解である。
 第9節で、伝染病の空気感染(新型コロナなど、飛沫感染である)と、飲食(飲用水を含む)による伝染を、細菌・ウィルスを知らないながら、指摘している。
 第11節で、人体に四対の脉管がある、との正確でない論を展開する。
 第15節では、発熱はたいてい胆汁からおこる、と誤りから論じている。

 机上の論より、病人の病状の観察より治療法を選ぶべきだ、としたのは画期的な事だった。
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写真ACより、「ガーデニング」のイラスト1枚。


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