風の庫

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角川源義

 角川書店「増補 現代俳句大系」第15巻(1981年・刊)より、3番めの句集、角川源義「西行の日」を読み了える。
 先の7月26日の記事、松崎鉄之介「鉄線」に次ぐ。
 同・大系に所収の句集として、2016年11月17日の記事、第11巻の第1句集「ロダンの首」に次ぐ。
概要
 原著は、1975年、牧羊社・刊。594句、長めの「あとがき」を付す。
 没後の第5句集で、遺句集と見られがちだが、その後の数10句が遺り、優れているとされる(大系・解説より)。
 娘・真理の17歳での自死や、自身の結核病の入院を経て、句は巧みになったと評される。ただし結核病は抗生物質の薬により治りやすくなり、3ヶ月余で退院した。
感想

 言うまでもなく、戦後に角川源義(かどかわ・げんよし、1917年~1975年)は角川書店を興し、1代で大企業に育てた、英雄である。しかし英雄らしく、社内で、家庭で厳しかったらしい。また漁色家でもあった(Wikipediaより)。約しく暮らしている僕には、マイナス点に思える。
 修羅の生涯で、句作は心の休まる場だったかも知れない。
引用
 入院中の作品ばかりより、5句を引く。
瑠璃やなぎ咲く家出でていつ帰る
日々に見る朝焼ゆやけ波郷の地
露草にかくれ煙草のうまきかな
将棋弟子句弟子をふやし秋ざくら
病者痩せ野良猫ふとり冬日享く

0-56
写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。





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 角川書店「増補 現代俳句大系」(全15巻)の第11巻(1982年・刊)より、2番めの句集、角川源義「ロダンの首」を紹介する。
 10月30日の
記事(←リンクしてあり)、沢木欣一「塩田」に継ぐ。
 角川源義(かどかわ・げんよし、1917年~1975年、享年58.)は、俳句に傾倒すると共に、角川書店・創立者である。
 句集の他の業績に、俳誌「俳句」、歌誌「短歌」の発行、各賞の設定、俳人協会の設立・俳句文学館の建設、他に貢献した。
 原著は、1956年、近藤書店・刊。480句に、石田波郷の跋文、著者のあとがきを付す。
 出版人らしく、章の立て方は複雑で、「ひとりの部屋」(1955年~1956年)、「末黒野」(1952年~1954年)、「わかれ路」(1945年~1951年)、「ななかまど」(1933年~1939年)の、4章立てとなっている。
 初期の句を後部に置き、1945年(敗戦)を区切りにした点は、評価できる。
 以下に5句を引く。
麦秋の駅を下りゆく土佐の貌
岩雲雀懺悔の坂を落ち行けり
まひまひや父なき我に何を描く
草ぼけの高原(たかはら)深くひつぎ行く(堀辰雄氏死す)
銀座びと生き愉しめり春の雷
ザクロ2
フリー素材サイト「Pixabay」より、柘榴の1枚。


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