
同人詩誌「角(つの)」第47号を、ほぼ読み了える。
今月20日の記事、「頂いた本など9冊より(1)4冊」で紹介した内の1冊である。頂いた事情などは、リンクをご参照ください。
同・46号の感想は、今年4月24日の記事にアップした。
概要
2018年8月20日、「角の会」・刊。
B5判、上質紙、50ページ。詩は1段組み、見開き2ページに1編、と贅沢な詩誌である。散文は2段組み。
詩は14名15編、散文は6名7編を収める。
感想
K・久璋さんの「羽化」では、毛虫が道を這っていると、車を避けると書く。生命を、万物を大事にする事は賛成だ。しかし人間が「類」的存在(人類として)として進歩して来た事を思うと、人間の尊厳を大事にしたい。
T・百代子さんの「壊れる」では、「コンクリートの階段から落ちて/脳からの指令が壊れてしまった」人の、「いや 喉は乾いている/口がどこにあるかわからん!」状態を引いて、人間らしく生き得ない悲惨を描く。
散文は、19ページを占めるが、詩人らしくない(美文を書けというのではない)文章で、総じて宜しくないようだ。
引用
H・秋穂さんの「セレナーデ」が、言葉で言い表しにくい事へ、手を伸ばしているようで、優れている。
11行の内、4行を引く。
セレナーデ
(前略)
庭の飛石が啼いて
花を摘む風の音は記憶の中を走っている
そして雨降りはそのまなざしのなかでもえつき
くずれた堤防の影で貌を上げる
(後略)
