風の庫

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関係

 新潮社「川端康成文学賞 全作品 Ⅰ」(1999年・刊)より、3回め、1976年の受賞作、佐多稲子「時に佇つ(十一)」を読み了える。
 2回めの永井龍男「秋」は、先の2月15日の記事にアップした。


 「時に佇つ(十一)」は短編連作の中の1作品である。ほぼ30年前に別れた夫の死を取り扱う。佐多稲子(さた・いねこ、1904年~1998年)、元・夫の柿村(モデルは窪川鶴次郎)は共に、戦前共産党(当時は非合法)に入党し、戦後も新日本文学会等で活躍するも、路線をめぐって除名された。二人は1926年・結婚、窪川の不倫等により1945年・離婚した(戦前か戦後か不明である)。
 惹かれるのは、次の1文である。「ここにゆきつくまでのお互いの関係に、燃えるものはすでに愛も憎も、燃やしつくしたあとだった…」。
 夫婦関係も政治活動も、霞むように曖昧に書きながら、元・夫、かつ同志の感情の通じ合いをよく描いている。柿村の1周忌から数ヶ月、「私」は柿村の亡くなった日を覚えていない、という曖昧さであるけれども。
 僕は「時に佇つ」全編を持っていない。彼女の著作としては、集英社の日本文学全集の中の1冊のみ所蔵している。

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写真ACより、「ドリンク」のイラスト1枚。


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 N・としこさんに贈られた、同人詩誌「角(つの)」第52号を読み了える。
 入手は、今月10日の記事、入手した2冊を紹介する(8)で報せた。リンクより、関連過去記事へ遡り得る。



「角」第52号
 2020年1月30日、角の会・刊。52ページ。
 B5判、詩は1段組みと贅沢な詩誌である。県内の他の詩誌では、A5判2段、B5判2段の場合が多い。
 また同人は、若狭から始まって、県内、東京都に及んでいる。
 K・悦子さんの「手をつなぐ」では、「手」を媒介として、目に見えない関係を描いた。
 T・尚計さんの「ゆきち」は、ペットのハムスターの悲劇から、末尾の諧謔に希望が見られる。
 T・常光さんの「デシベルの風」は、誰も詠わなくなった福島原発事故を、想像によって(恐らく正しく)詩化し続けている。
 関章人さんの詩集「在所」の評を、N・としこさんが2段組み4ページに渉って、明晰に展開した。
 映画評論・演劇を手掛けるY・勝さんが、仲間二人とのフランス・イタリア旅行の報告を、3段10ページに渉って述べている。昔日の外国映画の舞台を初めて実視できて、満足そうである。



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